【絶滅動物003】ステラーカイギュウ

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■ステラーカイギュウ

学名 Hydrodamalis gigas (Zimmerman, 1780)
英名 Steller’s Sea Cow

界   : 動物界 Animalia
門   : 脊索動物門 Chordata
亜門  : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱   : 哺乳綱 Mammalia
目   : ジュゴン目(海牛目) Sirenia
科   : ジュゴン科 Dugongidae
亜科  : ステラーカイギュウ亜科 Hydrodamalinae Palmer, 1895
属   : ステラーカイギュウ属 Hydrodamalis Retzius, 1794
種   : ステラーカイギュウ H. gigas

1768年以降絶滅

 

■生態

体長は7メートルを超え、体重は5-12トンあったと言われている。
(一説では最大8.5メートルに達したという)

 

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現生カイギュウ類としては最大。
ほとんど潜水できず、背中の上部を水の外にのぞかせた状態で漂っていたと言われている。
島の周辺の浅い海に群れを作って暮らし、潮に乗って海岸の浅瀬に集まりコンブなどの褐藻類を食べた。

 

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■絶滅まで

ステラーカイギュウを発見したのは、
ロシア帝国 第2次カムチャツカ探検隊の医師ゲオルク・ヴィルヘルム・ステラーである。
発見者であるステラーの名が付けられた。

 

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第2次カムチャツカ探検隊は当時かなり厳しい航海をしていた。
船員の多くは嵐による座礁や壊血病で息絶え、生き残ったステラ―達は食料の枯渇した状況の中で無人島での越冬をしなければならない状況であった。

 

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ステラーカイギュウはカムチャツカ探検隊にとって神の助けと言っても過言ではなかった。
その肉は子牛に似た味と食感をもっており、比較的長い時間保存することができた。
越冬期間、また期間する際の保存食として非常に有用な食糧となった。
(ステラーカイギュウ1頭から、3トンあまりの肉と脂肪を手に入れることができたと言われている。)

 

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食肉としてだけではなく、脂肪は甘いアーモンド・オイルのような味がし、ランプの明かりにも使われた。
皮は靴やベルト、ボートを波から守るカバーに利用され、ミルクは直接飲まれたほか、バターにも加工された。

また、ステラーカイギュウは動作が鈍く人間に対し警戒心を持たなかった為、容易に捕獲されたという。

 

ステラーは医者と同時に自然学者であった。
彼らが島から帰還した後、島に生息していた動物の調査結果が発表される。
当然その発表の中にはステラーカイギュウも含まれる。

 

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その後、ステラ―の発表を聞いて欲を出した毛皮商人やハンターたちによる乱獲が始まる。

この件がきっかけでステラーカイギュウは絶滅の道を辿る事になる。

 

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上にも書いたがステラーカイギュウは動作が鈍く、人間に対し警戒心を持たない。
そしてハンターたちにとって好都合な事にカイギュウは人間からの防御の方法をもたず、狙われてもひたすら海底にうずくまるだけだった。

カイギュウを銛やライフルで殺すことは実に容易であった。

 

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ただ、何トンにもなる巨体を陸まで運ぶことは難しい。
ハンター達はカイギュウ をモリなどで傷つけておいて、海上に放置した。
出血多量により死亡したカイギュウの死体が岸に打ち上げられるのを待つという方法である。

 

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が、波によって岸まで運ばれる死体はそれほど多くはなく、
殺されたカイギュウたちのうち、5頭に4頭はそのまま海の藻屑となった。


その個体はただ殺されただけである

 

 

 

ステラーカイギュウには仲間が殺されると、それを助けようとする習性があった。
そのような習性もハンターたちに利用され、芋づる式で何匹も何匹も殺された。
特に、メスが傷つけられたり殺されたりすると、オスが何頭も寄ってきて取り囲み、突き刺さった銛やからみついたロープをはずそうとした。

 

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ステラーカイギュウはいくら集まっても攻撃の術を持たない。
殺されそうになる仲間をただ「かばう」事しか出来なかった。

 

その様な乱獲が行われ、ステラーカイギュウはその数を急激に減らしていった。
しばらくして捕獲禁止令が出されたが、その頃にはもう手遅れであった。

 

1768年、イワン・ポポフという者が島へ渡り、
「まだカイギュウが2、3頭残っていたので、殺した」と報告している。

 

これがステラーカイギュウの最後の記録となった。

 

その後もステラーカイギュウではないかと思われる海獣の捕獲や目撃が何度か報告されているが、それがステラーカイギュウなのか他の海獣類を見間違えたのかは不明。

 

 

■ステラーカイギュウの骨格標本

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国内でも骨格標本は見る事ができる。
ロシアで捕獲されたものの複製ではあるが東海大学自然史博物館にステラーカイギュウの全身骨格標本が展示されている。

 

 

photo credit: flickkerphotos via photopin cc
photo credit: Tim Waters via photopin cc
photo credit: Tim Waters via photopin cc

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コメント

  1. smslテ・n utan uc 90 dagar

    Ett hem finansiering tenderar att ga din h舁sa mindre komplicerat

  2. 竹内 大介 より:

    絶滅に関わったハンター全員が酷い天罰を受ければいいと思いました。海棲哺乳類の大半が人間に因り絶滅の危機に瀕したのでしょうね。水口博也氏の著書に、シロナガスクジラが第二のステラーカイギュウにならなかったのは、ただただ幸いであった。との文言を連想しました。

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